カデンツァ - 援助関係の意義とソーシャルワークの価値

斉藤みちる


ソーシャルワークのカデンツァを感じさせるねこの後ろ姿

 

これまでソーシャルワークについて綴ってきましたが、カデンツァとしてここにまとめたい。

 

援助関係の意義

ソーシャルワーカーは利用者との間に援助関係を築き、利用者との相互作用の中でその関係を発展させ、困難に対処する力、つまり利用者自身が解決していける力を発揮できるよう支援を展開していきます。

 

自身では解決できない問題に直面している人々に耳を傾け、問題の全体的なイメージを把握し、支援の計画と実行を遂行していきます。何を解決してほしいと望まれているのか、どう解決していけばいいのか、どう解決することが望まれているのか、それらを的確に把握し判断する材料は、しっかりとした援助関係から自然と得られるものです。したがって援助関係の樹立が援助過程の基本となるのです。

 

援助関係は専門的な関係です。援助の終結後も友人関係のように関係が継続されるわけではありません。しかし、関係が断ち切られるのではなく、アフターケアが必要になればいつでも援助関係に基づく新たな援助が開始されます。

 

より良い援助関係は、他者への関心や個別的なニーズを理解する暖かい心、誠実な好意にもとずく傾聴、伝えるべきことを明確に伝えるコミュニケーション能力などによって構築されます。また、援助に役立つ専門的な知識や技術を幅広く身につけ、一人の利用者の背景の普遍的な問題を発見し、そのための方策を常に視野に入れて新たな社会資源を開発する前向きな態度が大切です。

 

援助関係における原則

 

ソーシャルワーカーが援助関係を築き、有効な支援を展開していくために守るべき原則を考えてみましょう。

 

まず、個別性を尊重し、その課題が利用者にとりどのような重みをもっているかを、利用者が理解してほしいと思っている度合いで理解するということが必要になります。どのような場合にも非審判的態度をもって共感的理解をしていくのです。

 

多くのケースを扱う中で経験値が蓄積されていきますが、常に初めてのケース、新たな利用者であることを念頭におきます。そして、受容的な姿勢で相手の話に耳を傾けることです。

 

さらに、秘密が守られることを相手に伝えます。言葉で伝えることはもちろんですが、言葉以上に物腰や態度といったところで、本当に秘密が守られるのだという安心感を与えなくてはなりません。

 

なお、バイスティックの「七つの原則」(次に説明します)は援助関係に関する古典的な原則ですが、ソーシャルワークを学ぶ人には必要なものです

 

※バイスティックの「七つの原則」とは、①個別化の原則②意図的な感情表出の原則③統制された情緒関与の原則④受容の原則⑤非審判的態度の原則⑥自己決定の原則⑦秘密保持の原則の7つである。

 

ソーシャルワーカーに求められる倫理

介護や保育を含む対人援助職とよばれる人々に共通することですが、いかなる場合も人間を信頼し人権尊重を優先先として仕事に携わっています。経済状態や、病気など個人情報にもふれる機会が多く、厳しい守秘義務も課せされます。

 

専門職の確立と広がりを背景にして、各職能団体等は自主的に倫理綱領を制定してきました。アメリカのソーシャルワーカー協会が制定したものが最初。日本では 昭和61年(1986年)ソーシャルワーカー協会によって倫理綱領が定められ、平成17年(2005年)には改正され、ソーシャルワークの定義、価値と原則、倫理基準が示されました。

 

この他にも「日本精神保健福祉協会倫理綱領」2004年、「日本介護福祉士会倫理綱領」1995年、「全国保育士会倫理綱領」2003年、「老人福祉施設倫理綱領」1993年などがあります。

 

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn