つくる会が刑事告発!教科書謝礼問題にみる教育行政の闇

田中伸暁


教科書 イメージ

 

多数の教科書会社が便宜目的で採択に影響を持つ教師や、教育委員会委員に金品を提供していた教科書謝礼問題。つくる会が贈賄の疑いで教科書会社10社を東京地検に刑事告発した。また、真相究明と関係者に対する厳罰を求め、自民党と文科大臣に要望書を提出、汚染された教科書業界の浄化を目指し、国民にも広く賛同を呼び掛けている。

 

文科省が実施した調査によると、小中学校の教科書を発効する22社のうち、12社が平成21年以降、検定中の教科書を5147人の教員に見せ、うち10社が謝礼として3千円から5万円の現金などを渡していた。教育に携わる者が法を犯し不正に手を染め、子どもたちの信頼を裏切った。断じて許されない行為であり、断固とした処分が必要である。

 

 

事件の性質

この事件の性質は、つくる会が自民党と文科省に提出した是正要望書にある通り、明確な刑事事件であり、公務員としてあるまじき行為、そして教育倫理の観点からも看過できない所業である。すなわち、

 

・「刑法第197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)及び198条(贈賄)」の違反

・「地方公務員法第29条(懲戒)」の違反

・「独占禁止法」の違反

 

という厳然たる法律違反で、贈収賄、不正取引の罪で厳罰に処せられても不思議ではない。

また、その違法性に加え、教科書協会が定めた「教科書宣伝行動基準」の中にある、

「宣伝行動においては、教科書という公共性にかんがみ、公正かつ自由な宣伝行為でなければならない。」
「教科書選定のプロセスには、透明性、公正性が求められており、従って教科書宣伝は法令順守だけでなく、倫理的側面にも十分配慮して行うことにより、社会の信頼を得なければならない」
「選択関係者に対して、金銭、物品、饗応、労務の提供その他これらに類似する経済上の利益を供与してはならない」

という行動指針にも反する。教科書会社は、自分たちでこのような定めを設けておきながら、裏で卑劣極まりない取引をして不正に利益を稼いでいた。教科書検定の精神を根底から覆す不祥事を働いたといっていいだろう。

 

 

最も不正を働いた東京書籍の教科書

教科書業界と教職員らによる癒着、贈収賄事件において、業界最大手である東京書籍が最も不正に手を染めている。文科省の調べで分かったことは、東京書籍が47都道府県ののべ2269人に教科書内容を見せ、そのうち2245人に謝礼を支払っていた。

 

東京書籍の歴史教科書を使用している全国の中学校は全体の51%にも上る。しかも、東京書籍の歴史教科書の中身は、左翼イデオロギーに満ちていて、いわゆる「南京事件」や「慰安婦問題」で悪辣な記述が目立った教科書だ。

 

公民の教科書もまたひどい。戦後の憲法をあたかも日本人が作ったみたいに書き、憲法9条は素晴らしい内容で世界に先駆けて正しいことを日本がしてきた、と称賛している。いわゆる自虐史観に満ちた内容で、生徒の健全な育成の弊害になることはいうまでもない。歴史教科書で最も高いシェアを誇ってきた東京書籍が一番不正に手を染めていた事実は重大で、指名停止に追い込まれてもおかしくはない。

 

 

著名人も追及

この教科書謝礼問題、そしてつくる会の刑事告発を受け、保守言論界からは原因究明と当事者・責任者の処罰を求める声が高まっている。

 

ジャーナリストの水間政憲氏はニコニコ動画の中で、「金品をもらった教職員はすべて戒告処分にすべき」と、教科書会社だけでなく、収賄疑惑のある教員の処分について言及している。そして贈賄側の教科書会社に対して、教科書採択の入札指名停止を文科大臣に求めるべき、と提言した。

 

水間氏によれば、戒告処分の権限は教育委員会にあり、指名停止が下せるのは文科大臣となっている。戒告処分は採択関与の有無に関わらず、謝礼をもらったすべての教員を対象とすべきであり、二度と不正に手を染めないよう厳罰の処すべきである。そして、指名停止の決定を文科大臣にさせるには、文科大臣・副大臣だけでなく、菅官房長官や安倍総理にも働きかけを行うのが効果的だという。

 

また、拉致問題に積極的に取り組んでいる三宅博前衆議院議員は、自身のウェブサイトで、このように怒りを表明している。

 

『文科省と日教組、全教祖、部落解放同盟や、各自治体の教育委員会との慣れあい体質及び癒着構造こそ今回の事件を生じさせ教育行政を堕落させた原因そのものである。

今こそ検察に対する刑事告発や国会の論議を通じて永年の膿を排除しなければならない』

 

 

声をあげる地方議員

つくる会の動きに賛同し、声を上げているのはジャーナリストなどの著名人だけではない。地方議員も議会で取り上げるなど、問題追及に精力的に動き、情報発信にも努めている。

 

埼玉県議会議員の鈴木正人氏のブログから引用させていただく。

 

『我が埼玉県の状況でも、平成21、22、25、26年度において不適切な宣伝行為は22社中9社が関与していた事が明らかになり、対価を伴わず、検定申請本を閲覧させた事案は4社66人。検定申請本を教員等に閲覧させ、意見聴取等の対価を支給した事案が6社167人にも及んでおります。()この教科書謝礼問題ですが、埼玉県でも教科書採択に関与出来る教員の調査員24名が、現在までの調査で謝礼を貰っている事が明らかになりました。(略)こうした教科書が、賄賂と疑われる謝礼によって決められていたのなら絶対に許されるものではありません。県の教育委員会はしっかりと調査し、今までの膿を出していただきたいと思います』

 

また、和歌山市議会議員の戸田正人氏も、自身のブログでこの問題を徹底追及している。

 

『本日我が会派の同僚である浦平美博議員による一般質問で、いわゆる教科書の選定を巡る謝礼問題において和歌山市からも11名の金品受け取り関与者がいることが判明しました。()教科書会社にとって、自社の教科書が採択されれば大きなマネービジネスが発生します。

まさに、自社の教科書にアドバンテージを来すため、教育関係者に謝礼金を払い採択前に閲覧してもらう、加えて、謝礼金をもらった教育関係者はその会社の教科書に対し当然の事ながらひいき目で見る。(公務員としてあるまじき行為)この行為は、俗にいう贈収賄ではないかと強く危惧するのです。闇に包まれた教育行政を解体しなければ、未来の子供ためにならない!と考えます』

 

つくる会が要望書を提出し、各地方の市議会や県議会でも取沙汰されている。あとは文科省がどうでるか。義家ひろゆき文科副大臣は、悪質な業者に関しては指名停止も辞さないという趣旨の発言をしている。このような動きに、文科省トップの馳大臣がどんな決定を下すか、注目されるところである。

 

 

 

□田中伸暁

政治・歴史・文化・社会問題を中心にライター活動しています

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