地方分権の推進を社会福祉行政の観点から見る ~地方分権の意義と、地方分権化の必要性・動向~

斉藤みちる


しあわせそうに食べる人
地方分権の意義

地方分権は、日本国憲法で定める地方自治の理念に基づき、その地域住民のニーズに対応し、地域業務に関わる権限を国から、国民一人ひとりに移譲していくことをいいます。

 

福祉改革が進展していくなか、今日の社会福祉行政は大きく転換してきています。特に「国から地方へ」あるいは「地方の時代」と長年唱えられてきた地方分権は、社会福祉に関する行政運営に多大な影響を与えるものです。

 

社会福祉だけではなく、全ての行政分野において、地方分権化は地方自治体にとって、自らの業務を遂行する上で決して欠かすことのできないものです。地方自治体が、地域住民の多様なニーズに迅速に応答して、社会福祉を増進するためには、自らの業務に関わる権限と責任が必然的に要請されます。

 

しかし、国から委任された機関委任事務の増加により、地方自治体の本来の事務が圧迫されてきた歴史があります。

 

地方自治体が機関委任事務を管理・執行する上で主任大臣の包括的な指揮監督の下に置かれ、自主性・自立性が妨げられていたのでした。

 

そこで、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が処理するよう国と地方の役割分担を明確にする地方分権が推進されています。今日、国と地方自治体の関係を考えるにあたり、とりわけ地方分権は重要な問題であります。1980年代以降、大きな政府、とりわけ大きな中央政府は非効率で国の活力を萎えさせるという認識から、「中央から地方へ」の決定権の移譲を進め、地域間競争の導入により、国全体としての活力の増強を図ろうとする考え方である世界的な行政改革の発想に基づき、地方分権の動きが加速し、社会福祉行政においても諸改革により一層の地方分権化が図られてきました。

 

地方分権化の必要性

地方分権化とは、これまでの国が主導で政策を決定し、サービスを提供する体制から、住民に身近な地方自治体を基盤とした福祉体制へと転換する動きのことです。

 

具体的に地方分権化がなぜ必要になったのだろう。その理由を次のように要約させていただきました。①国際社会での課題が増大するなかで、国家の課題には国が、地域の課題には地方自治体が、それぞれ対応する必要があるため、②地方自治体に権限を与えることによって、小回りをきかせて、地方の産業・文化などを活性化し、東京一極集中の是正をはかるため、③地域間格差が拡大する一方で、地方の衰退が目立ちはじめたため、④人口減少化社会に対応した医療・保険・福祉サービスの総合化を中核に据えた地域福祉政策が地方自治体に迫られていることなどが上げられます。

 

地方分権化の動向

かつての社会福祉行政では、国が上級機関として社会福祉行政の中心的な役割を担い、都道府県知事や市町村長を国の下級機関とみなして社会福祉の実務を実施する機関委任事務制度により運営されていました。たとえば、生活保護法に関する事務では、国(厚生大臣)は都道府県知事及び市町村を、都道府県知事は市町村長を包括的に指揮監督するものとされていました。

 

社会福祉が地方自治体の事務として定着し、地方自治体が主体的に担うことが求められる在宅福祉サービスが社会福祉の基調となり、地方自治体の独自事業が広まりを見せているこのなどから、1986(昭和61)年の「地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律(事務整理合理化法)」によって、社会福祉施設への入所措置事務を地方自治体の長などに実施させる機関委任事務が、地方自治体の団体委任事務へと移行しました。

 

1999(平成11)年に「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(地方分権一括法)」が制定され、2000(平成12)年4月に施行されました。地方分権一括法によって、機関委任事務制度が廃止され、地方自治体の事務は、法定受託事務と自治事務に再編成されることになりました。その結果、生活保護の実施や社会福祉法人の認可などは法定受託事務となりましたが、その他のほとんどの社会福祉事務は自治事務となりました。

 

地方分権一括法の後、行財政の効率化・合理化と基盤強化を目的とする「市町村合併」や、国からの補助金と地方交付税を削減し、その財源を国税から地方税に移譲するという「三位一体改革」が行われています。2006(平成18)年の地方分権改革推進法によって設置された地方分権推進委員会では、国の地方自治体への関与のあり方や税源移譲などについて議論がされています。2011(平成23)年4月に「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第1次一括法)」が成立し、地方自治体の自主性強化のため、その事務処理に対する法令の義務づけ・枠づけの見直しなどが行われました。

 

三位一体改革の結果、全国の地方自治体のなかで、小規模自治体ほど大きな影響を受け、予算編成自体ができないほどの影響を受けているのが現実の姿といえます。

 

地方交付税の大幅な削減が地方の政策的経費の減少や、住民施策の縮小などにつながっていること、また財源調整機能が縮小し、地域間格差拡大の原因となっていることが明らかとなっています。

 

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn


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コメント: 1
  • #1

    Fae Gillie (木曜日, 02 2月 2017 01:59)


    Your way of explaining everything in this post is really fastidious, every one can effortlessly know it, Thanks a lot.