ペットブームの闇 ~殺処分される犬の行方~

モトタキ


ラブラドールという犬

 

ペットブームという言葉が世にでるようになって久しい。内閣府の「動物愛護に関する世論調査」によると、201510月の時点で全国の犬の飼育頭数は約9917000頭に達している。犬を飼う人たちの半数以上は「生活に潤いや安らぎが生まれる」と答えている。

 

犬を飼う人たちは犬を家族のように扱っている人も多い。それもそのはず、犬を飼うことは、その犬の一生を背負うことに他ならない。

 

だがしかし、人によっては、犬の人生を見届けることの出来ない人もいるのだ。

 

 

これは処分される老犬の最後を撮影した動画である。老夫婦に飼われていたこの老犬は、病気を患っていた。日に日に死へと近づいていく姿を見るのが辛くなった老夫婦は動物管理センターに持ち込んだのだった。

 

そして老犬はその最期を一人で迎えてしまった。

 

くぅーんくぅーんと切なげに鳴く老犬の声は、種族を超えて、その寂しさを感じさせる。己の命がまもなく燃え尽きることを感じて、ずっと一緒に過ごしてきた老夫婦の姿を探していたのかもしれない。

 

犬を飼うときは、最期の最後まで見届けようと決心するものである。だが想い出が重なり、愛情が深まれば深まるほど、その最期を看取るのは辛くなっていく。ペットの犬たちと人間とは寿命に差がある。かならず、その死と立ち会わなければいけなくなる。逃げてはいけないはずなのだ。

 

 

この動画は動物愛護センターで「殺処分」されていく犬たちの姿の報道を伝える動画である。

 

この動物愛護センターでは、管理している犬たちを個別の部屋に分けて保護し、きちんと部屋の掃除をし、トリミングまでしている。その中には新しい飼い主と出会っていく犬たちもいる。

 

だが捨てられた犬たちは最低3日を過ぎれば狂犬病予防の観点から処分せねばならないと法律で決められている。処分の日が来た犬たちは二酸化炭素による殺処分が下される。ステンレスの処分機の中でガスが噴出し、何頭もの犬たちが暴れ、そして息絶えていく。

 

動物愛護センターのスペースは有限だ。こうした処置は仕方ない。法律によって、持ち込まれた犬たちを受け入れなければならず、無制限に受け入れた犬たちを生かし続けることはできない。物理的に不可能だ。

 

ノーキル運動として、受け入れないようにする動きもあるという。だがそれは臭いものに蓋をするようなものだ。実際、受け入れなかった犬たちの中には、飼い主が買い続けられない理由のある犬たちもいる。その犬たちはどこにいくのだろうか。

 

それでは意味が無い。もっと抜根的な問題の解決を目指さなければいけない。

 

 

日本のペットの扱いは、流行りの犬種を繁殖させるブリーダーたちと、その流行りの犬たちをファッションで飼うユーザーたちの関係性がある。家族としての犬を飼っているわけではなく、ステータスとして犬を飼っていることもあるのだ。

 

保健所の人たちも犬たちを殺したいわけではない。一匹でも、犬の命を助けるために、貰い手たちに対するアピールイベントを開催している場所も多い。それでも救われていく犬たちは全体の半数程度でしかない。

 

犬を飼いたいと思った人は、殺処分する結末を回避しなければいけない。それをするためにも、こうした殺処分に関する動画を喧伝する必要があるだろう。犬たちがどのように殺されるのか。それをリアルに想像できるように促す必要がある。

 

気軽に処分してしまう背景には他人事の精神があるのだろう。命をモノ扱いする身勝手さが一日千頭の犬の命が失われていく現実を生み出している。

 

 

殺処分の実態を映しだした動画がこちらだ。いかにして動物愛護センターに持ち込まれた命たちは殺されていくのか。その全てが生々しい映像として記録されている。

 

この動画を見た後で、それでもペットを飼いたいと思える人はどれほどいるのだろうか。気軽さで、軽率にペットを買うことは、もうそれ自体が、命に対する虐待であると言わざるをえない。

 

この動画をみて、悲しい気分にもしなったのであれば、決してペットを殺処分に追いやるようなことをしてはいけない。

 

 

殺処分に持ち込まれた犬たちは怯えている。恐怖している。当然である。今まで愛されていたはずの家族が突如いなくなり、わけのわからない場所にとじこめられてしまうからだ。そこには建物の中では同族たちの死も常にある。そんな場所で、心細くないはずがないのだ。

 

そんな犬を引き取ったときは、やはりなかなか懐いてくれない。どうして引き取ってしまったんだろうと後悔するかもしれない。それでも、愛情を持って接すれば、必ず犬たちは心を開いてくれる。家族の一員となってくれる。

 

もう二度と、犬たちをあの場所に追いやらないようにしてはならない。家族を見捨てるようなことはしてはならないのだ。

この動画はモノ扱いされる犬たちの闇を暴いている。血統書付きの犬は、それだけで商品価値が跳ね上がる。なのでブリーダーたちは、純血の犬を作り続けている。

 

だがしかし純血種は生物を脆弱にしてしまう説がある。それを証明したのがこの動画だ。混血種であっても、純血種であっても、犬の可愛さに違いはない。むしろ、混血種のほうが、純血種よりも健康な個体が多いとされている。

 

純血種に至っては、今回の動画で描かれているような遺伝子病を引き起こしている現実がある。

 

 

 

犬は家族であり、生命である。その生命を好きなように弄ぶ行為は果たして許されていいのだろうか。ペットを飼う以上は、家族をひとり迎え入れる気概が必要とされる。

 

人間と他種の生物たちとの共生こそがペット飼育のあるべき姿である。そうした意識を持つことが必要とされる。もし、あなたがペットを飼おうとしているのであれば、そうした考えを念頭に置くようにしてみてはいかがだろうか。

 

 

 

□モトタキ

1984年和歌山生まれ◆『しらべぇ』にてサブカルな話題を提供◆ネットメディアや紙媒体にてインタビュー記事やイベレポ記事を執筆◆ツイッターでエンタメな情報配信やってます

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