地方分権一括法以降の改革 地方分権改革推進法-三位一体改革-平成の市町村合併-地域主権改革

斉藤みちる


協力
地方分権改革推進法

地方分権一括法以降も、地方分権の推進に関する議論がなされ、2006(平成18)年12月には、「地方分権改革推進法」が制定されました。この法律では、国と地方自治体が分担すべき役割を明確化し、地方自治体の自主性・自立性を高めることを基本理念としています。

 

また、国から地方自治体への権限移譲だけには留まらず、国・地方自治体ともに行政の簡素化・効率化を推進することとされました。この法律を具体化するために2007(平成19)年には、内閣府に地方分権改革推進委員会が設置されました。この委員会では、国と地方自治体の役割分担や国の関与のあり方の見直し、これに応じた税源配分などの財政上の措置のあり方について検討を行っています。

 

三位一体改革

地方分権一括法により国と地方自治体が対等となったとはいえ、地方自治体が自らの判断と裁量で事務を展開する裏づけとなる財源が確立されていなければ、片手落ちです。

 

そこで、2001年(平成13)年に内閣総理大臣の諮問機関(しもんきかん)として地方分権推進会議が設置されました。“地方でできることは地方で”という考え方の下で進められた改革の方針は次の3つ、①国から地方への税源移譲、②国庫補助負担金の削減、③地方交付税制度の見直し。これらを「三位一体改革」といいます。

 

この改革は地方分権を財源面から強化する観点から打ち出されたものです。今日の社会福祉行政においては、地方自治体の役割が大きくなっていることから、制度運用の面だけではなく、財政面でも地方自治体が主体性を発揮できるよう、国と地方自治体の財政関係を見直すことが重要となっています。

 

2004(平成16)年から三位一体改革が実施され、税財源移譲が段階的に始まりました。同改革は、基本的には地方分権の趣旨に添い、住民に身近な地方自治体が自主的・主体的に施策を推進することが狙いとなります。財源分配や負担割合だけの問題ではなく、国と地方の役割のあり方を踏まえて進められました。

 

平成の市町村合併

地方分権一括法によって、「市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)」が制定されました。合併特例法は、市町村合併の推進のため、合併協議会設置、住民発議制度、市町村建設計画のほか、2005(平成17)年3月までに合併する場合に限り市制施行のための人口に関する要件を3万人以上とするなどの特例を定めるものでした。

 

市町村合併の狙いは、地方分権化、少子高齢化などに対応して、市町村の財政基盤の強化、行政組織・運営の効率化などスケールメリットを生かした行財政の効率化を図ることにあります。

 

合併特例法改正により、市町村の自主的な合併がさらに促進されました。市町村合併を推進することにより、行政の効率化、適正な資源配分、団体間の格差の縮小などが目指されました。市町村合併により、行政運営の効率化や財政基盤の整備が図られる一方で問題点として、市町村が広域化したことによるきめ細かな行政サービスの空洞化やコミュニティの崩壊が危惧されています。

 

地域主権改革

地域主権改革は、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めることのできる活気に満ちた地域社会をつくっていくことを目指し推進されています。2009(平成21)年には、内閣府に「地域主権戦略会議」が設置され、地域主権改革に関する施策等が検討・実施されています。

 

2011(平成23)年4月に「地域の自主性及び自主性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第1次一括法)」が制定され、児童福祉施設等の設備・運営基準が都道府県の条例に委任されるなど、地方自治体の条例制定権が拡大されました。

 

以後も、この法律は数回制定され、2015(平成27)年6月には第5次一括法が制定され、国から地方自治体への事務・権限の委譲などについて、関係法律の整備が行われています。また、2011(平成23)年4月には、国と地方の対等関係の実質化を図るため、「国と地方の協議の場に関する法律」が制定されています。

 

 

 

コラム

改革の中でも見失ってはいけないものがあります。1990年代から福祉行政はさまざまな改革がなされています。「措置から契約へ」とスローガン的にいわれるものがそうです。

 

このような改革のなかでは、国や地方自治体の福祉行政の組織も変容を免れません。しかし、その際にも社会福祉における公的責任を不明確にすることは望ましくありません。行政の支出削減だけの行政組織再編にならないように、国民が個々に不断の監視を続けていく必要があるのです。

 

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn