充実人生 ~30代から考える介護保険制度~

斉藤みちる


フード姿のおかぶり女子 [モデル:河村友歌]

 

現在独身なので、このままの状態が続き40代50代と、ひとりで生涯を終えるという人生設計もありえなくない。

 

周りにも結婚して子育てをしているといった知り合いが増えてきているかもしれませんが、自分の未来を見据えながら、充実人生のために介護保険制度を考えてみませんか?

 

本記事では、介護保険制度の導入と経緯と、問題点、トクする負担軽減策をじっくりと解説していきます。

 

介護保険制度の導入と経緯

少子化の進行による若年人口の減少や、平均寿命の延伸による65歳以上人口の増加に伴って、慢性的な病気や障害を抱えながらの生活や、認知症など介護を必要とする高齢者が急速に増加し、保険、医療、福祉の領域を越えたサービス・ニーズが出現してきました。

 

これは、家族形態や介護機能の変化などと重なって、高齢者の介護問題をより深刻化させる元になっています。もともと高齢者に対する保健福祉サービスは、医療、老人福祉、老人保健の3つの異なる制度の下、行われていました。要介護者に対する介護サービスは、老人福祉制度や老人保健制度という異なる制度の下で提供されていたため、内容や費用負担にバランスを欠いていました。

 

ひとりでの生活が困難なため治療自体は終わっていても退院後の受け入れ先が無く入院し続ける社会的入院といった問題等により、高齢者の医療費が増加してしまいました。

 

病院は「医療」の場であるため、介護という観点からは質の低いサービスが行われることが多く、また、医療資源が医療の必要のない人に使われるという意味で、社会全体から見れば資源の無駄遣いともいえました。

 

行政組織の構造的な問題など、サービス利用手続きや費用負担の面で不都合が多く、多様なニーズを充足する総合的なサービスとして、生活を支えるには課題がありました。その他にも、サービスの質や効率性、財政的にも多くの問題を抱えるようになっていました。

 

そこで1990年代に入り、基礎構造改革を経て、超高齢社会においても持続する制度が検討され、1997(平成9年)12月に介護保険法が成立、公的介護保険制度が創設され、2000(平成12年)から、介護保険法に基づいて、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして、介護保険制度が開始されました。

 

在宅サービスを重視して、利用者の選択による各種サービスを総合的に提供することが特徴です。

 

さらに、1999(平成11年)に策定された今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向(ゴールドプラン21)では、市町村には介護保険事業計画を、都道府県には介護保険事業(支援)計画が、老人保健福祉計画と連携して策定され、介護サービス事業の提供基盤の計画的な整備が図られました。なお、ゴールドプラン21は2004年に終了しています

 

●目的

介護保険法は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態(常時介護を要すると見込まれる状態)となり、介護、機能訓練及び看護ならびに療養上の管理上の管理その他の医療に要する者等が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに関わる給付を行い、国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的としています(介護保険法第1条)

 

●基本的理念

リハビリテーション等による要介護状態の軽減・予防の重視、医療との十分な連携、被保険者の自由な選択による被保険者にふさわしいサービスの提供、民間活力の活用による多様な事業者・施設によるサービスの提供、総合的・効率的な保健、医療、福祉サービスの提供、在宅における自立した日常生活の重視などがあげられ、これらの事項について配慮して行わなければならないとされています(介護保険法第1条及び第4条)

 

介護保険制度の問題点

措置行政時代との大きな変化のひとつとして、市町村が住民から保険料を徴収し、それに見合うサービスを提供する仕組みが生まれたことがあげられます。

 

このような制度改革に伴い、各市町村は、保険料をどの値に設定し、いかなる水準のサービス利用量ならびに、民間事業者の参入状況は、都市部では比較的順調ではありますが、同時に保険財政の面から見ると、厳しい状況に置かれている自治体も数多く存在しています。

 

制度導入後保険財政の状況が逼迫(ひっぱく)したことから、保険料の値上げを検討する自治体も増加しています。その結果、財政的にゆとりのある自治体と、そうでない自治体との保険財政状況の格差も拡大してきています。

 

介護保険制度は、その後の制度改正において、質的側面の向上や、生きがい施策の重視などなどが重点項目となりました。たとえば、要支援が2つに分かれ、介護予防に関するサービスが大幅に増加したこと、施設給付などの見直しと、施設入所の負担増などがその改正内容としてあげられます。政府としては、在宅において健康に暮らす高齢者を少しでも増やし、財政負担を減らしたい方針ですが、サービスを実際に利用してきた高齢者からは、利用できるサービスが大幅に減少した、あるいは同じサービスを受け続けるには自己負担が増加したとの声が後を立ちません。

 

現在の制度の運営基準で、実際に現場でサービスを提供した場合、制度の理念との間に大きく齟齬(そご)、ひずみが生じており、その多くは介護サービス事業者や従事者の負担となりながらも、なんとかサービスが提供されているというのが現状です。

 

改めて、国の目指すところはどのようなことなのか、国民一人ひとりが真剣に考える必要があるでしょう。

 

介護のトクする負担軽減策

■食事代・居住費の負担申請で軽減されることも!

 

食事

 

介護保険制度は非課税世帯では、申請により介護保険施設への入所や、介護療養病床への入院時の食事代・居住費の負担が軽減されます。

 

以下に該当する場合は申請しましょう。

 

 対象者  市町村民税が非課税の人。

 

 軽減内容  所得に応じて次の通り負担が軽減されます。

・入院・入所中の食事代の軽減(1ヶ月)

入院・入所 41,4009000円~19,500

・入院・入所中の居住費(光熱水費)の軽減(1ヶ月)

入院・入所 49,200円⇒14,700円~39,300

 

 申請  「介護保険負担限度額認定申請書」で市区町村役場(介護保険担当)に申請します。認定後は、「介護保険負担限度額認定証」が発行されます。

 

 特例

特別養護老人ホームは、原則要介護3以上を入所対象とされましたが、次のいずれかに該当する場合は入所が認められます。

 

    認知症で、日常生活に支障を来すような症状等が頻繁に見られること

    知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状が頻繁に見られること

    深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難な状況であること

    単身世帯等家族等の支援が期待できず、地域での介護サービス等の供給が不十分であること

 

 

■利用料・保険料、申請で減免されることも!

 

介護保険利用料減免

 対象者  災害・失業・事業の休廃止などの場合、利用料減免制度を利用できます。また、低所得世帯に対しての利用料減免制度がある市区町村もあります。

 

【例示】・東京都目黒区:住民税非課税世帯で一定の条件を満たす方は、訪問介護サービスなどの利用者負担が約半分に軽減

・愛知県豊橋市:市町村民税非課税世帯で一定の条件を満たす方は、高額介護サービス費の月額上限額を8,000円に引き下げ

 

 申請  市区町村役場(介護保険担当)に申請します。

 

介護保険料減免

 対象者  災害・失業・事業の休廃止などの場合、保険料減免を受けることができます。また、所得の低い世帯を対象とした減免制度がある市区町村もあります。

 

【例示】・大阪市:介護保険料第1~4段階の方で、世帯年間収入1人150万(以下1人増えるごとに48万円加算)以下(介護保険料・介護サービス利用料を控除)、預貯金350万円以下、かつ扶養を受けていないなどの場合、保険料を半額に軽減

 

 申請  市区町村役場(介護保険担当)に申請します。

 

 

 

■介護保険サービスを受けている方に負担軽減ができる場合も

 

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度

社会福祉法人等が提供するサービスについて、介護保険利用料、居住費及び食費の一部が減免される制度があります。

 

 対象者  市区町村民税非課税世帯で預貯金等が一定条件に当てはまる方

 

 対象要件  (次の要件をすべて満たしている人が対象です)

    市区町村民税非課税世帯

    年間収入が単身世帯で150万円(1人増えるごとに+50万円)以下

    預貯金の額が単身世帯で350万円(1人増えるごとに+100万円)以下

    世帯が所有する資産がすべて日常生活のために必要な資産である

    負担能力のある親族等に扶養されていない

 

 軽減内容  軽減を実施している社会福祉法人が提供するホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホームなどの利用料、食費、居住費の4分の1(老齢福祉年金受給者は2分の1)が軽減されます。

 

 申請  市区町村役場(介護保険担当)に申請し、受け取った確認証を介護サービスを受ける施設に提示します。

 

まとめ

保介護のほんねニュースのこの記事は、将来の介護保険についてヒントとなる問題提起をしています。①賃金を月12000UPすることが離職を食い止めるのか、②一人暮らしの高齢者が増える中、在宅介護は主流になるのか、③介護の問題を、介護だけで解決するのか。

 

こと介護に関しては、子供のいる前提で語られやすいところも問題です。私たち独身で一生を終える可能性の高いものはいないことになっているのでしょうか?

 

まず、ひとりでも多くの人がこの問題に目を向けること。そして、改革の方向性を決めるためのエビデンスが蓄積されていくことが重要となるでしょう。

 

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn