消えゆく歴史的意義、人類の進歩を目指した「優生学」の可能性

斉藤みちる


ジェームズ・ワトソン博士
ジェームズ・ワトソン博士 出典http://science.newsln.jp/articles/2013010906070007.html

 

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が死亡し、負傷者も多数出た事件で、「優生学」がクローズアップされています。「失われた20余年」、閉塞感が強まる社会状況の中、近年見られない凶悪な今回の事件が起きました。

 

警察の被疑者への取り調べやメディアを通じた情報によれば、被疑者は、「障害者は生きていてもしょうがない」、「障害者はいないほうがいい」などの言動を繰り返しており、今から77年前の1939年から1941年にかけて、障害者や難病者が「生きるに値しない生命」として、約7万人を抹殺したナチス・ドイツの「優生思想」を被疑者の言動から思い起こさせるものとなっています。

 

「優生学」というのは、応用科学に分類される学問の一種で、一般に「生物の遺伝構造を改良する事で人類の進歩を促そうとする科学的社会改良運動」と定義されます。1883年にフランシス・ゴルトンがこの造語を定義しました。

 

現在では、多くの倫理的問題を引き起こしたことから、人権問題としてタブーとなり、第二次大戦後は公での支持を失っていったとされています。

 

DNA研究のパイオニア、ジェームズ・ワトソン博士の“人種”に関するお騒がせ発言

世界で最も高い評価を受けている科学者の一人が、黒人は白人よりも知能が低いと発言したため、ただならぬ騒動が巻き起こりました。

 

英紙サンデー・タイムズによるとインタビューにおいてワトソン氏は「アフリカの将来については全く悲観的だ」「(我々白人が行っている)アフリカに対する社会政策のすべては“アフリカ人の知性は我々と同等である”という前提で行われているが、それは間違いである」「黒人従業員の雇用者であれば、容易にそれを納得できるだろう」などと語ったのだという。

 

結果、コールド・スプリング・ハーバー研究所を辞職に追い込まれたのだとか。

 

しかし、私はこのような発言をしたら首になって当然だとは思わない(正直ベース、納得できないこともない話なのだ。)。考え方は腹立たしいとしても、意見が気に入らないから収入源を断つというのは、軽々しくやっていい処罰ではないでしょう。

 

ワトソン氏は、「性行動を決定する遺伝子が見つかり、女性が同性愛の子供は欲しくないというのならば、女性の思いどおりにさせたらいい」とも、中絶賛成という意図でありましょう。

 

消えゆく「優生学」の新たな可能性

優生学とはきわめて政治的な観念でしたが、これからの優生学では、人種間の違いだけでなく、DNAの研究を取り入れたり、あるいは人間の遺伝現象をどうすれば、次代の世代に良い影響を与えられるか研究し、提案していくものです。

 

べつに、一定の形質を持つものばかりを優秀なものとして選別しようなどと頑迷なことを考えたりはしていないのです。つまり、これからの優生学は遺伝学をいろいろな形で発展させた学問であると言えます。

 

既存の学問でいうなら、人類遺伝学の一種と言えるかもしれません。学徒を増やし、大学でも影響力を高めて、基金を設立したりするのもアリかもしれないですね。

 

 

 

□斉藤みちる

国家が自分の自由の中に、変な形で介入することを拒みます。人間が自由であることの背後には、文化や伝統といったことがあるということを踏まえての自由主義者。

Twitter @tikyuuhattenn