成人した子供の不祥事は親の責任なのか

斉藤みちる


非行少女 イメージ
出典http://www.nicovideo.jp/watch/sm15938255

 

子供の不祥事は親の責任か。ここでは、子供が成人している場合を議論していきます。そなたたちは、「親と子はそれぞれまったく別個の、独立した人格を持った人間である」という認識をお持ちだと思います。しかし、日本では、加害者と家族が同一視されがちで、此の親にして此の子ありといわれるように、親の育て方が問われがちです。

 

たとえば、欧米では、成人した子供の親に責任があるという考え方は存在しません。もちろんそれは成人した子供は、ということで、合衆国には、親の責任法(Parental responsibility)という法律があって、未成年の子供が犯した犯罪の刑事責任を親が負う法的根拠にもなっています。

 

説教おじさん@partyhikeのツイート
出典 https://twitter.com/partyhike/status/768974405946847232
説教おじさん@partyhikeのツイート
出典 https://twitter.com/partyhike/status/768676262046945280

 

本来、加害者家族は責められる対象ではなく、むしろ支援が必要な人たちです。欧米では加害者家族を「隠れた被害者」(Hidden Victim)と呼び、その責任を追求することはありません。

 

この新説に母親たち落胆・・・子どもの知能指数に親のしつけはほとんど影響しないことが判明

心理学の機関誌『Intelligence』に発表された子共の知能指数(IQ)を決定する遺伝子は、親の行動や環境の影響はほとんど受けないことがわかったという合衆国の研究をご紹介します。

 

子共の知能に関する研究で、それを決めるのは遺伝か?環境か?という議論はこれまでも多く行われてきています。そのなかでよく言われるのが、親が子供に読み聞かせをしたり、家族そろって夕食のテーブルを囲んで会話をしたりするなどの行為は、子共の知能を高めるのに有効であるということ。

 

しかし、今回の研究チームを率いた、米フロリダ州立大学で犯罪学を専門にするケビン・ビーバー教授は、過去のそうした研究の多くは実子が対象となっているため、遺伝的伝達が考慮に入れられていないことを指摘。そこで今回は、実子と養子の両方を対象に調査を行いました。

 

ビーバー教授らは、「National Longitudinal Study of Adolescent Health(全米青少年の健康に関する長期的研究)」のデータのうち、全国を代表するサンプル5,500~7,000件から選んだ養子ではない若者と、250~300件のサンプルから選んだ養子の若者を対象に、IQテストであるピーボディ絵画語彙検査(PVT/絵や写真を見せながら行う語彙力のテスト)を実施。

 

同検査の1回目を対象者が中高生(13歳から18歳)のときに、その後2回目は彼らが18歳から26歳になった段階で行いました。さらに、調査対象者の両親の育児に関する行動についても分析したのだとか。

 

その結果、親による読み聞かせや積極的な会話などの行為が、子共の後年のIQに目立った影響を及ぼしたという証拠は見つけられなかったといいます。

 

「過去の研究結果で、親のしつけが子共の知能の発達に影響するとされたのは、そもそも読み聞かせなどを行う親には知能の高い人が多く、遺伝的な要素が隠されていたと考えることができます」とビーバー教授は語る。

 

しかしだからと言って、今回の研究結果は、そういったしつけをするべきではないとか、まったくしなくていいと言っているわけではありません。

 

子共がさまざまな知的刺激に触れる機会を作ってあげることには、社会性を育むなどのいくつもの利点があります。ただ、知能の高い子共を育てたい一心で、「子共に良い影響を与えなくては」と親が神経質になったり、無理をしたりする必要はないということです。

 

またビーバー教授も、良いしつけとは正反対のネグレクトやトラウマは、子共の知能に負の影響を与えるだろうと強調しており、「親の行動がIQには影響しない」というのは、あくまでもその親の行動が正常な範囲におさまっている限りにおいてだと話しています。

 

家庭環境の影響は、ほぼ20歳までにはゼロになる

ジェームズ・R・フリンは『James R.Flynn,Intelligence and Human Progress Elsevier,2013』において、人が成長するにつれて、家族環境の影響は、仲間や家族以外の社会集団の影響に比べて次第に弱くなり、ほぼ20歳までにはゼロになるのだと示しています。

 

幼児期に親は、子供たちの遺伝子の個人差は考慮せず、自分の子供たちを平等に養育するものです。そのため親は、兄弟に同じ家庭環境を提供する可能性が極めて高いといえます。また、より豊かな親が子供に提供する環境と、貧しい親のそれとは異なっているのが通例であります。しかしながら、子供たちが成長して学校に入り、仲間集団を形成するようになると、家庭環境の影響力は次第に弱くなり、より広い社会環境の影響力の方が徐々に強くなってくるのです。そして、子供たち一人ひとりの遺伝子の能力に合わせるように社会環境がチューニングされて行きます。

 

質の高い遺伝子を持って生まれた子供は、より多くの注目を集めることで、読書のための本を与えられたり、読書クラブに入部したり、読書好きな友達ができたりするでしょう。もちろん家庭内においても、あるいは、小学校就学前においても、質の高い遺伝子の子供は、他の兄弟よりも親から与えられる環境が良かったり、自らもそれをうまく生かそうとするかもしれません。このようにして次第に家庭環境の影響力が弱まり、子供の遺伝子の質、つまり元々の、知能指数の良い悪いに見合った個性や環境が出来上がってくるのです。

 

これらのことからも、すでに成人している子供の行った行為について、親が責任を負う必要はないことがわかります。加害者家族は責められる対象ではなく、むしろ支援が必要な人たちなのです。

 

 

 

□斉藤みちる

国家が自分の自由の中に、変な形で介入することを拒みます。人間が自由であることの背後には、文化や伝統といったことがあるということを踏まえての自由主義者。

Twitter @tikyuuhattenn

人類遺伝学TOPに戻る