過剰防犯『顔認証システム』

斉藤みちる


顔認証システムの操作画面
出典http://www.nikkei.com/article/DGXMZO92890410W5A011C1000000/?df=2

 

顔認証システムに懐疑的な声があがっています。

 

このシステムの問題点は運用で発生する誤りです。つぎのような間違いが発生する可能性があります。

 

顔データの登録時に間違えて他人の顔データを登録してしまう。

 

気に食わない客や知人を意図的に登録してしまう。

 

顔認証率が100%正確とは限らないことを店員が知らずに、検知アラートが点灯した来店客を万引き犯として扱ってしまう。

 

間違いが生ずる可能性はたくさんあります。しかし、間違いを見つけることも、訂正することもできません。

 

ジュンク堂の衝撃

 

平日1万人、土日や祝日には5万人が来店するジュンク堂書店の池袋本店。これら多くの来店客に紛れて店に入ってくるのが、過去に何度か万引きをした、あるいは万引きをした可能性のある人物だ。“招かれざる客”をいち早く見つけ出すのに大活躍しているのが、顔認証システム。20146月に本格導入して以来、20157月中旬時点で500人の万引き犯および、疑わしい行動をした人などの顔データを蓄積している

出典 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO92890410W5A011C1000000/

 

この記事は、ジュンク堂池袋支店のプチ炎上を招き、twitter上では賛否両方ありますが、批判のツイートとしては、

・万引きしたで留めておけばまだ許容範囲だったが可能性まで含めた時点で論外

・数か月ならわかるが1、2年も顔認証データを持つことが合法化されるのだろうか

などのコメントが寄せられていました。

 

報道されたジュンク堂での運用実態に迫って検討してみましょう。

 

まず、万引犯リストと突き合わせ、犯人の疑いありと分類された場合であっても、実際に確認して別人であると分かれば、その人の顔画像や顔認証情報は、速やかに削除されなければなりません。また、撮影した顔写真が、万引き常習者のものでなければ、速やかに削除されれば適法とはなるでしょう。このことは、記事には示されていません。

 

次に、ジュンク堂書店では、システム導入後1年間に登録された万引き犯及び疑わしい行動をした人を約500人登録したと記されています。その「万引き犯及び疑わしい行動をした人」リストに問題はないのだろうか。

 

一日平均2万人来店するとして、延べ約700万人中の500人だから、登録率は1万分の1以下となります。この程度であれば、登録されているのは「万引きしたと合理的に疑われる画像」であるとみてよいように思われます。これは店がお客の人権に配慮したというより、「疑わしい画像」を何でもかんでも登録したのでは、ハズレの警報が頻発し、システム自体の信頼性が無くなってしまうという、運用上の必要に基づくものと思われます。

 

記事によれば、「監視カメラで撮影していることを来店客に伝える張り紙がある」とのことですが、上記のような照合システムを運用するにあたり、この程度の文言で足りるという理解が間違っています。プライバシー権との関係で見れば、「ビデオカメラ作動中」との明示だけでは足りないことは明白でしょう。民法上適法といえるためには、「当店はお客様の顔画像を万引犯リストと照合するシステムを運用しています」と明示する必要があるでしょう。

 

当該システムは単なる監視にとどまらず、来店客の顔画像を万引犯リストと照合する点で特異性があり、この点を告知する必要があります。

 

もし登録されてしまったら

「万引犯・不審者」リストに登録されると、こんなことをされるリスクがあります。

 

入店するといつも警備員がすぐ来る。

 

入店すると意味ありげな放送がされる。

 

買い物にいくと店員からニヤニヤされる。

 

店員が見下し嘲笑するような態度をとるor露骨に無愛想になる。

 

警備員・警官は、まだポーカーフェイスのことが多いです。これが、ショップ店員になるとふるまいが露骨になります。「自由な買い物をする権利」を失うのです。

 

ある記事では、顔データの共有が、系列店などではなく、関係のない店舗同士で行われていたという報告もあります。そこでは、個人情報保護法の「第三者提供の制限」に抵触すると説明されています。

 

買物の妨害だけではありません。スーパーに勤める人が、ご近所の人だったりしたら、ご近所中に犯罪者とする情報が拡散される危険性もあるのです。

 

こうなると、防犯パトロールも絡んでくることになります。防犯パトロールではたとえば、SOHOでいつも家にいるなど、防犯パトロールの人たちと生活リズムが異なる多くの人々が「不審者」として扱われてしまうことがあります。

 

 防犯パトロール活動が、住民同士の和気あいあいとした雰囲気の中で、エンターテイメントとして消費されるという奇妙な現象が発生します。こうしたパトロールの当事者たちを本柳亨さんは、「犯罪統制と排除― 犯罪機会論の台頭 ―」において、「エンターテイメントを楽しむ見物客」と呼び、無邪気に治安管理を社会に招き入れていると批判しています。

 

まとめ

顔認証システムによって”犯罪が激減”したから、間違えて登録されたひとりの人民が執拗な監視でうつ病になり自殺したとなったら、

 

『でも、街の安全のためなら、これくらい問題ないわよね?』

 

なんて解釈は、一般常識あるいは刑法の世界では、しないと考えます。

 

 

ネットの自由、顔認証、集団ストーカーを解決する『プライバシー保護評議会』
顔認証システムの歴史

自動化された顔認識システムのパイオニアは、Woody BledsoeHelen Chan WolfCharles Bissonらでした。

 

1964年から1965年にかけて、BledsoeHelen ChanCharles Bisson と共に、コンピュータを使った顔認識に取り組みました。しかし、資金提供が、匿名の諜報機関からだったため、あまり公けにされることはなく、ごく一部の成果が公表されています。

 

大規模な画像データベース(顔写真の本のようなもの)と一枚の写真を与えられたとき、データベースから写真にマッチする少数のレコードを抜き出すことが研究課題でした。手法の成功度は抜き出したレコード数のデータベース全体のレコード数に対する比率で表されます。Bledsoeは、その困難さを以下のように述べています。

 

「この認識問題は頭の上下左右の動き、照度や角度、表情や加齢で大きな変化があることで難しくなっている。機械による顔認識に関する他の試みでは、これらの変化をほとんどまたは全く考慮しなかった。光学的に加工を施さない画像データで相関関係(またはパターン照合)を行う手法を使う研究者もいたが、それらは変化が激しい場合には必ず失敗した。特に、頭の左右の向きが違う同一人物の写真では、相関関係が極めて低い。(Woody Bledsoe, 1966)」

 

このプロジェクトは「マン・マシン」と分類されます。というのは、人間が写真から特徴を抽出して、それをコンピュータが認識するのに使ったためです。GRAFACONRAND TABLETといったペンタブレットを使って、オペレーターが瞳孔の中心、目の内側の端と外側の端、額の中心の生え際などといった特徴点を抽出しました。これらの座標から、口や目の幅、瞳孔と瞳孔の間隔など20種類の距離が計算されます。オペレーターは、一時間に約40枚の写真を処理することができました。データベース構築時には、これらのデータと顔写真の人物名が対応付けてコンピュータに格納されていました。認識フェーズでは、これら距離データ群が対象となる写真から抽出した距離データ群と比較されます。そして、最も近いレコードが回答として出てくるわけです。

 

Bledsoeが1966年にこの研究を離れた後に、この作業はPeter Hartらによってスタンフォード研究所で続けられました。2000枚を超える写真のデータベースの上で実行された実験において、コンピュータと人間の顔認識力比較では常にコンピュータが優れていました。

 

1997年頃、ドイツのルール大学ボーフムとアメリカの南カリフォルニア大学は、マサチューセッツ工科大学やメリーランド大学カレッジパーク校のシステムよりさらに優れた顔認識システムを開発しました。

 

ボーフムのソフトウェアはZN-Faceとして製品化され、ドイツ銀行や空港で採用されました。この顔認識システムは不完全な顔画像でも十分認識でき、口髭、顎鬚、髪型の違い、眼鏡やサングラスをつけていても認識可能だとされています。

 

画像検索には一般に画像への何らかのタグ付けが必要です。2007年1月、Polar Roseは顔認識技術を使って写真から人物の頭部の3次元イメージを約1.5秒で作成し、ユーザーにその人物の名を尋ねることで名前と顔を一致させ、画像検索のタグとして利用するサービスを開始しました。

 

2006年、Face Recognition Grand Challenge (FRGC)にて最新の顔認識システムの評価が行われた。その結果、2002年のシステムに比べると10倍、1995年のシステムに比べると100倍の正確さで認識できることが示された。中には人間のもつ顔認識能力を凌ぐアルゴリズムもあり、一卵性双生児を別人として識別できるという。

 

低解像度の顔画像の解像度を強化する技法としてface hallucination法があります。また、近年では、カメラ自体が高ピクセル化しており、解像度の問題は解消されつつあります。

 

 

 

 出典

http://hanamizukilaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-f60e.html

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn


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コメント: 2
  • #1

    Fae Gillie (水曜日, 01 2月 2017 16:41)


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