児童虐待の一類型~身体的虐待とは?

琉舜


赤ちゃん

 児童虐待は、「身体的虐待」、「性的虐待」、「いわゆるネグレクト」、「心理的虐待」の4類型に区分されています。

本題の身体的虐待とは、上述した4類型のうち、最も直接的な虐待であり、法律(児童虐待の防止等に関する法律)上では

    身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること

と定義されています。

これは、殴る蹴るといったものはもちろん、熱湯をかける、たばこの火を押し付けるなどといった行為も含まれます。

厚生労働省発表における平成27年度の児童虐待相談対応件数103,260件のうち、この身体的虐待は28,611件と全体の27.7パーセントを占め、心理的虐待に次ぐ件数となっているほか、前年比プラス2,430件と年々増加傾向にあります。

また、警察庁発表によると、平成27年中における児童虐待による事件の検挙件数は785件、うち、本題の身体的虐待は643件と、全体のおよそ81.9パーセントを占めているのが現状です。

過去には、この身体的虐待、すなわち暴力によって、子どもが死んでしまう悲惨な事例も起きています。

事例をいくつかご紹介します。

 

 

 

平成26年1月30日、東京都葛飾区において、当時2歳の女児が肝臓損傷で失血死し、父親が逮捕される事件がありました。

女児の身体には肋骨骨折のほか、40か所ものあざがあったそうです。

この事件、児童相談所では元々女児に対する虐待を知っており、「見守り中」として対応していたものの、警察に対する情報提供が為されないままであったため、事件が起きる5日前、110番通報により女児方を訪問した警察官も、「夫婦喧嘩です。」という親の嘘に騙され、虐待を認識出来なかったとのことです。

 

 

 

平成25年12月には、愛知県豊橋市に住む当時7か月の女児が、父親に身体を強く揺さぶられるなどの暴行を受け、父親が逮捕された事件もありました。

この父親、事件を起こす数か月前にも女児の双子の姉に対して暴行を加え、硬膜下血種という重傷を加えた上で、後に死亡させる事件も起こしているのです。

この事件では、双子の姉が硬膜下血種を起こした時点で、診断医師から虐待の疑いが強いと連絡を受けていたにも関わらず、児童相談所が女児を保護しなかったため、結果として悲しい結末を引き起こしてしまったのです。

 

 

 

児童相談所や警察の対応への批判はさておき、なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか?

なぜ命を奪ってしまうほどの苛烈な暴力を振るってしまうのでしょうか?

虐待を加える親は、どのような気持ちで我が子に手を上げてしまうのでしょうか?

よく虐待のことを「しつけ」と言い訳する親がいます。

ですが、しつけと虐待とは明らかに違います。

「しつけ」を広辞苑で引くと「礼儀・作法を教え習わすこと。訓練、躾。」と書かれています。

親が我が子に対し、社会の中で生きてく上で困らないように、他人に迷惑をかけずに自分の足で生きていけるようにと願いを込めて、社会のルールや礼儀作法を教えるのです。

確かに、ひと昔前は親が我が子に手を上げることが日常的にありました。

これを容認するつもりはありませんが、しかしながら、ひと昔前のそれはあくまで子を思う愛情から来るものであり、かつ、現在よりも親戚付き合い、ご近所付き合いが活発であった中でのことであって、周囲の目、周囲の支えによって、いわゆる虐待にまで発展してしまうことが少なかったのではないのでしょうか?

一方、虐待とは、親自身の心の余裕がない時にこそ起こりやすいといわれています。

周囲との付き合いが極端に少なく、誰にも相談出来ない、誰にも頼ることが出来ない環境の中、親が寛容さを失い、虐待を加えてしまう。

また、周囲との付き合いがないために、止める人がいない、発覚しづらいなど、まさに時代を反映したものであると言えます。

今まさに我が子に虐待を加えてしまっている方、その一歩手前まで思い詰めている方、もしそんな方がいらっしゃるとするなら、どうか1人で抱え込まないで下さい。

度重なる悲惨な事件を受け、遅ればせながら、行政における相談窓口も増えてきています。

悩める親を支援する体制も拡充されてきています。

そして、周囲の目、周囲の支えも大切です。

幼い子どもの命が、実の親に奪われる、こんなことが今後起きることのないよう願ってやみません。

 

 

 

□琉舜

北海道在住の30代、3児の母。過去には法律関係の仕事をしていたこともあり、政治問題や社会問題に関心を持ち続けています。

 


 ▼あわせて読みたい


児童虐待こそ逮捕されやすい


児童虐待で保護された子どもはどうなるの?施設ってどんなところ?


児童虐待の1類型~心理的虐待とは?


我が子に虐待をする母親、なぜ?


「虐待を繰り返してしまいます」というお母さんへ


児童虐待「家を出たい。妹もいるのに私だけで決めてもいいの?」


初めて子どもを叩いてしまったあなたへ


児童虐待に気づいたら。通報という対応を覚えておいてください。


未婚率の増加を克服できる制度案


認知症、さいたま市の状況 要介護者増加により様々な取り組みが急務


さいたま市、高齢化率の推移 現状と課題と将来推計


江戸時代の社会福祉 農村は村落共同体、商家は大家族経営、家族や共同体内の相互扶助が基本


ライフドキュメンタリー 母子家庭


充実人生 ~30代から考える介護保険制度~


福祉行財政の動向 ~第二次安倍政権誕生からアベノミクス新三本の矢まで~


教育への公的支出が少子化対策の秘策!?


議員の劣化が止まらない 中選挙区制で立て直せ


ライター初心者ok!「女性向け小説」「若者向け政治記事」小説家・ライターさんを募集中!


ペンで世の中を変えたい!そんなあなたに「みんなの社会科」スタッフ


【なんで母親バッシングするんだろう?】優しい社会は訪れるか、ツイートで見る