児童虐待の1類型~心理的虐待とは?

琉舜


勉強する児童

 心理的虐待。

児童虐待の防止等に関する法律においては、「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動(分かりやすく言えば、父親の母親に対する暴力や暴言などで子どもがストレスを受け、心の傷を負うということです)を行うこと」と定義されています。

法律の条文でもお分かりいただける通り、心理的虐待とは、「お前なんて生まれてこなければよかった」、「死ね、殺してやる」などと暴言を浴びせたり、父親が母親に暴力を振るう場面を子どもに見せつけた上で「言うことを聞かないとお前もこうなるぞ」などと脅迫したりといった行為を指します。

 

 

 

この心理的虐待の特徴は、身体的虐待、性的虐待などといった直接的な行為にひけを取らないほど、極めて暴力的な行為であるのに対し、あくまで心身に攻撃を与えるものであって身体に証拠を残さないために、外見的に認知されにくいということが挙げられます。

であるのに、平成27年度中、全国の児童相談所において認知した児童虐待の相談件数103,260件のうち、心理的虐待の相談件数が48,693件と実に約47パーセントを占めているのです。

つまり、認知されにくい種別のものが、相談件数の中で最も多くの割合を占めているということは、さらに潜在している虐待が多数存在するということの現れでもあるということです。

 

 

 

お分かりの通り、心理的虐待とは、他の虐待と比べて、入り口のハードルが極めて低いものです。

なぜなら、あからさまな暴力やわいせつ行為、食事を与えないなどの放置と違い、暴言を浴びせてしまうということが、最もありがちな行為だからです。

だからといって、これが許容される訳ではありません。

この種虐待によって心に傷を負った子どもは、自らの存在意義を見出せなくなり、社会に適応しづらくなったり、うつ病などの精神疾患を発症しやすくなったりと将来に渡ってその後遺症に苦しむことになります。

しかも、多くの虐待は、この『心理的虐待』を入り口に、どんどんエスカレートしていくのです。

暴言に脅迫が混ざり、脅迫に暴力が加わり、暴力に放置が合わさる。

最後に待っているものは、大げさでも何でもなく、子どもの死ですよね?

満足な食事も与えられず、入浴もさせてもらえず、温かい布団で寝かせてもらうことも出来ない、そうした不衛生な環境の中、いつ始まるとも知れない暴力に常に神経を張り巡らせ、心の安定を保つ余裕などなく、ただ日々の暴力だけが苛烈さを増していく。

そして、日に日に衰弱していき、最後には死に至る。

これが虐待死の典型的な例です。

私のつたない文章で、この残酷さが伝わるでしょうか?

 

 

 

親も人の子、時にはカッとなり、我が子に思ってもいないような暴言を浴びせてしまうこともあるかもしれません。

でも子どももまた人の子なのです。

親と同じように悩み、苦しみ、傷つき、それでも前を向いて生きているのです。

決して親の所有物ではないのです。

心理的虐待、一見して難しい言葉ではありますが、私たちのすぐそばにあり、誰にでも起こしうる身近な問題で

あるということを常に意識しておきたいものですね。

 

 

 

□琉舜

北海道在住の30代、3児の母。過去には法律関係の仕事をしていたこともあり、政治問題や社会問題に関心を持ち続けています。

 


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