ジェネラリスト・ソーシャルワークとは 簡単に

斉藤みちる


パンプスを履いた女性の足

 当記事は、日本の社会福祉の現場のあり方を見据えて、どのようにジェネラリスト・ソーシャルワークのスーパービジョンの知見を活かしていけるかをできるだけ簡単に解説して行きます。

 

ジェネラリスト・ソーシャルワークは、「人と環境の相互作用」に着目し、それに関わる広範な領域を構造的に理解することによって、より多様な役割を担った形でソーシャルワーカーは、援助を展開していきます。人間を一個人としてばかりではなく、地域社会を構成する要素あるいはシステムとして捉え、地域社会との相互作用にも意識を傾けて支援を行うことを特徴としています。

 

同志社大学にて大塚 達雄名誉教授、住谷 磬滋賀文化短期大学教授、岡本 民夫名誉教授、黒木 保博士教授らに、ソーシャルワークの教示を受けた山辺 朗子教授はジェネラリスト・ソーシャルワークについてどう述べているのでしょうか。2011年7月10日発売の『ジェネラリスト・ソーシャルワークの基盤と展開 (新・MINERVA 福祉ライブラリー)』に著した解説がわかりやすい。

 

 ジェネラリスト・ソーシャルワークでは、従来の面接や社会資源の活用、グループワーク等の枠組みにとらわれず、さまざまな方法やスキルが用いられる。その社会福祉機関・施設に応じた方法やスキルを動員することこそが求められるのである。この点からも社会福祉施設でのソーシャルワークの展開でジェネラリスト・ソーシャルワークは抵抗なく用いることができると考えられる。

以上のようにジェネラリスト・ソーシャルワークの概念を用いると、生活型社会福祉施設において、生活支援を行いながら問題解決型援助を行うことについての概念的枠組みが明確化されるのである。前述したように、生活型社会福祉施設の利用者は利用型社会福祉施設などでは充足されないニーズをもつ。このようなニーズをできる限り充足し、問題を解決し、その人に応じた生活を実現していくことこそが最近よく耳にする「自立」といわれることなのであろう。

 わが国ではソーシャルワークは、従来ケースワーク、グループワーク、コミュニティワークなどといった枠組みの中で捉えられ、相談援助や地域福祉活動など社会福祉施設での支援とはかなり異なったものと考えられることが一般的であった。また、従来の措置制度のもとで、生活支援型援助が社会福祉施設援助の中心と考えられ、ソーシャルワークは社会福祉施設では「そぐわないもの」「役立たないもの」として考えられる風潮すらあった。しかしながら、社会福祉基礎構造改革の進展の中で社会福祉施設における援助・支援は新しい展開の必要をせまられている。その中で社会福祉援助・支援は新しい展開を迫られる。この状況においても以上のようなことは不可欠である。

 ジェネラリスト・ソーシャルワークは現代におけるあらゆる社会福祉支援の基盤として機能する。地域におけるさまざまな支援においても、社会福祉施設における支援においても、ケアを包含する支援全体を一貫性のある流れに導く役割を果たしている。地域においても社会福祉施設においてもジェネラリスト・ソーシャルワークに基づく総合的包括的支援は総合相談、チームアプローチ、生活支援、ケア、さまざまな様態の支援において重要な方法である。(ジェネラリスト・ソーシャルワークの基盤と展開 (新・MINERVA 福祉ライブラリー) 山辺朗子著 P11,12による)

 

この書籍をしたためられた山辺 朗子(龍谷大学社会学部臨床福祉学科教授)が、岩間 伸之(大阪市立大学大学院生活科学研究科講師)と、2004年に発売した『ジェネラリスト・ソーシャルワーク』の翻訳が、なぜ9年もかかったのか、2014年6月21日の「 大会校企画シンポジウム」にて山辺教授はこう語っています。

 

「訳している間にどんどん中味が変わっていくのです。この中で気がついたことがあります。ものすごく社会が動いているから、この本を書き換えないといけなくなってくることが如実にわかった次第です。すごいなと思いながら2004年に訳出して、この10年間、本当に書き換えていかないといけないことが、いっぱいあるなという気持ちでいっぱいになっています。

いろいろなモデルとかアプローチとか、パースペクティブを含めていろいろな考え方が入ってきた。この考え方が、これでは合わないからだめよとか、今まではよかったけど、これからは駄目だから、ということではなく、使えるところを全部使って、そして総合的に変革していく必要があるのではないかと考えております」

 

人間そのものを理解することを前提に、『ひとりの人として、クライエントを見つめる』ことからケースワークが展開されていくのですから、ジェネラルな視点を持てなければ、支援は出来ないといえます。

 

「地域福祉の主流化」や「地域福祉時代」と称される今日では、福祉施設の中で支援が行われていた時代に比べ、多くの人が、地域で生活できるようになりました。けれども、地域での社会生活を円滑に送るためには、多方面にわたる多様なニーズがあることは忘れてはいけません。このために、個々人のニーズの把握や支援計画のあり方も変化を求められています。

 

個々の人が地域で暮らしていけるような地域社会との関係調整や、利用できる社会資源の活用と開発、地域社会への働きかけ、福祉施設であればそれが地域社会の拠点となるための諸活動までも必要とされることから、ジェネラリスト・ソーシャルワークの視点での支援を学習する教育体制の構築が求められています。

 

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn