ベトナム原発中止 国会で日ロ企業による原発建設中止案を可決 ロシアの国営原子力企業は声明

斉藤みちる


第1ニントゥアン原子力発電所の完成予想図
第1ニントゥアン原子力発電所の完成予想図

  

ベトナム政府は2016年11月22日、同国南部での原子力発電所の建設計画の中止を決めた。日本とロシアがそれぞれ受注して2028年にも稼働する予定だったが、資金不足に加え、東京電力の福島第1原発の事故を受け、住民の反発が強まったため、計画を断念した。

 

中止の原因① 住民の反発

同日閉会した国会で、東電福島原発事故を受けたコスト増加や、財政難などを理由に中止する政府決議案を賛成多数で可決。計画の白紙撤回が正式に決まった。

 

4月に中部ハティン省で、台湾企業が建設中の大型製鉄所で大規模な公害が発生し、住民の環境意識が急速に高まったことも影響したとみられる。

 

2009年、前首相のグエン・タン・ズン氏が主導し、電力不足を解消するため計画を承認。南部ニントゥアン省に発電能力計400万キロワットの原発をつくる予定だった。当初は14年に着工し、20年の稼働を目指していたが、人材と資金の双方の不足から稼働は28年以降に遅れる見通しとなっていた。

 

ロシアの国営原子力企業、原発プロジェクト中止について声明

同国が各種メディア上で、ニントゥアン原子力発電所建設プロジェクト中止についてマスコミに発表した直後に、ロシア国営原子力企業ロスアトム(ROSATOM)の広報代表者は、モスクワのベトナム通信社支局に、本件に関する同社の正式な声明を送付してきた。

 

以下は原文のベトナム語を日本語に訳したもの。

 

「現時点でのマクロ経済の条件に基づいてベトナム政府は、ロシア連邦と日本が進めているニントゥアン原子力発電所建設プロジェクトの中止を決定した。私たちは顧客の決定を尊重し、ベトナム政府が国家原発プロジェクトを継続する場合にはいつでも全力でベトナムを援助する用意がある。

 ロシア連邦とベトナムの間では、原子力発電産業の分野における長期にわたる二者間の協力関係が築かれてきた。ダラットの原子力研究所により、国家の平和的目的のために核エネルギーを発展させる基盤となる必要なインフラの建設を含め、ベトナムはロシア連邦の援助を受けて原子力技術を発展させ続けることができる」

 

中止の原因② 悪化するベトナムの財政状況

完成すれば東南アジア初の原発となるため、日本政府はアジアへの原発輸出のモデルと想定。三菱重工業や日立製作所などのメーカー、電力会社が受注をめざしていた。ただ、ベトナムの財政状況は自由貿易の拡大に伴う関税収入減や公的債務の増加で財政は悪化しており、1基当たり数千億円単位の資金がかかる原発建設は困難との声が強まっていた。

 

国営メディアは今月、国会の科学技術・環境委員会の副委員長の発言として、2009年以降、建設予定額は2倍の400兆ドン(180億ドル)に膨らんだと報じている。

 

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn