児童虐待を発見したら―生活の中でできる社会福祉

斉藤みちる


悲しげな子供
悲しげな子供

児童相談所での児童虐待相談受理件数は年々増加しており、平成26年の相談受理件数は約8万8,000件と過去最多となりました。

 

先日も、児童虐待の対応に裁判所も関わる仕組みを新設するというニュースがあり、児童虐待に対してはあらゆる取り組みが模索されています。

 

そこで今回は、そなたたちの日常生活において虐待が疑われる子共を見つけた時に出来ることをお伝えします。

 

「通告したらその子に対する虐待がヒートアップしないだろうか?」、「通告したら、虐待している親から逆恨みされないだろうか?」という心配に対しても答えながら解説したいと思います。

 

虐待が疑われる場合、いち早く相談を

虐待が疑われる子共を見つけた場合は、すぐに最寄りの市区町村の児童相談所または福祉事務所に相談をすることが大事です。

 

通常、両親からの虐待は日常化していることが多いですし、家庭内などの人目に付かない場所で行われています。

 

ですから、「虐待かも?でも、もう少し様子を見ようかな・・・」と迷っていると、その後の様子を確かめる機会がないまま、最悪の事態を招きかねません。

 

また、実は、法律上、虐待を受けたと思われる子どもを発見したときは「児童相談所または福祉事務所に通告しなければならない」という規定があります。

 

“通告”というと大げさに聞こえますが、電話を1本掛けるだけでよく、電話したことによって責任を問われる心配もありませんので、子共の命や安全を守るために、できうる限りのことをしてあげたいですね。

 

なお、平成27年7月から児童相談所の共通ダイヤルが“189”となっており、「いち早く」の語呂合わせで覚えやすくなっています。

 

匿名での通告が可能。通告しても逆恨みなどの心配はない

児童相談所や福祉事務所への通告は、氏名を名乗らず匿名で行うことができる上、相談内容の秘密は守られます。

 

また、調査の結果、虐待の事実がなかったとしても一切罰則はありませんので、安心して電話相談を行うことができます。

 

虐待を疑うべき兆候

それでは具体的に“虐待の兆候”としてはどのようなものが上げられるのでしょうか?

 

■虐待する保護者の特徴

・不自然な状況説明があり、二転三転する

・障害の程度(重症度)を気にしていない

・片方の保護者への説明内容が変わる

・経済的困窮や強い夫婦不和がある

・子供の症状や行動の把握が不的確

・衝動的な行動や発語が多い

・示威的な言動をする

子共との関わり方

・子供を激しく(常識を超えて)叱る。すぐに叩く。ののしる

・子供の日頃の様子をほとんど知らないし知ろうともしない

・子共が病気でもあえて病院に連れて行かない

・子共を抱いたり、話しかけたりしない

・子供の扱いがぎこちない

・子供に笑顔を見せない

・子供に話をしない

学校との関わり方

・体罰や年齢不相応な教育などを、「しつけ」「家庭の教育方針」などと正当化する

・欠席の理由がはっきりしなかったり、連絡がなかったりする

・子共に関して言っていることに一貫性がない

・ケガについての説明が不自然である

・話し合いや面談を拒む

家族の状況

・絶え間なく喧嘩があったり、家族への暴力がある

・必要な予防接種や健診を受けさせていない

地域での状況

・近所づきあいがほとんどない

 

■子供(被虐待児)の特徴

子供の行動・心の様子

・子共が夜遅くまで1人で外にいてふさぎ込んだ様子である

・大人の前で動きがぎこちない。不自然な肢位を取る

・落ち着きがなく無表情で大人への怯えがある

・怒鳴り声や泣き声がいつも聞こえる

・触られることを異常に嫌がる

・逆に異様にべたべたと甘える

・表情が暗い

身体や身なり

・警戒心が強く音や振動に過剰に反応し、手を挙げただけで顔や頭をかばう

・外傷の受傷転帰が不明瞭・不自然(本人も理由を話したがらない)

・食べ物への執着が強く、与えられるとむさぼるように食べる

・顔や腕、足などにいくつもの傷や怪我、火傷の痕がある

・不適当な服を着ている(季節外れ・性別不一致など)

・体重や身長の伸びが悪いなど、発育不良が見られる

・子共の服や身体がいつも破れたり汚れたりしている

・爪が伸びっ放しか爪を噛んでいて爪が伸びていない

・見えにくく普通にはケガをしない部分の外傷

・衣類を着替えるとき、異常な不安を見せる

・子共の身体に不自然なあざや傷がある

・未治療の虫歯が多い。口の中が汚い

・怖がる、怯える、急に態度を変える

・表情が乏しく、受け答えが少ない

・季節にそぐわない服装をしている

・全身に新旧混在の外傷の存在

・子共が極端にやせ細っている

・身体・着衣が異様に汚い

保護者との関わり方

・保護者がいる時といない時で動き・表情・発語が変わる

・保護者の前では硬くなり、極端に恐れている

・保護者といるとおどおどし、落ちつきがない

・子共と保護者の視線がほとんど合わない

・不自然に子共が保護者に密着している

・保護者と離れても泣かない

・保護者の顔色をうかがう

友だちとの関わり方

・落ちつきがなく、過度に乱暴だったり、弱い者に対して暴力をふるったりする

・激しいかんしゃくを起こしたり、かみついたりするなど攻撃的である

・威圧的、攻撃的で乱暴な言葉遣いをする

・友だちに食べ物をねだることがよくある

・友だち関係がうまくつくれない

学習状況

・理由のはっきりしない欠席・遅刻・早退が多い

・急激な学力低下を起している

・忘れ物が多い

問題行動

・下校時刻が過ぎても家に帰りたがらなかったり、家出を繰り返したりする

・金銭の持ち出しや万引きなどの問題行動を繰り返す

・年齢に不相応な性的な興味・関心をもっている

・小動物をいじめる

 

街中で児童虐待を目撃したら

街中で親が子供を殴っているところを目撃したとき、どうすればいいのでしょうか。声をかけても大丈夫なのかしら。

 

その時は責めるのではなく、状況により、子供が危ないなら声をかけて。『どうしましたか?』『眠くてぐずっているのかな?』など、親に寄り添う言葉をかけるのがおすすめです。その一言で母親も冷静さを取り戻すかもしれません。

 

ただ、不審者に間違われる恐れもあるので、189(児童相談所全国共通ダイヤル)や警察などに電話して指示を仰いでも構いません。

 

また、児童虐待の証拠は撮影すべきでしょうか?

 

■児童虐待現場の撮影

人々がいきかう駅の構内。大泣きする小さな女児を、保護者らしき女性が蹴り倒す・・・。

そんなショッキングな動画がフェイスブックに投稿され、話題となったのは記憶に新しいと思います。

 

しかし、動画や写真は証拠として効果はありますが、撮影していることが虐待している親に見つかると、逆恨みなどのトラブルになるので無理はしないこと。また、撮影した動画や写真をSNS上にアップするのはいけません。プライバシー侵害で訴えられる危険があったり、ネット民から思わぬ批判が飛んでくる危険性もあります。

 

証拠の記録物は、児童相談所や警察への状況説明用にのみ使用することが肝要です。

 

何度通報しても状況が変わらないケース

何度通報しても状況が変わらないというケースも考えられます。

 

おかしいと思ったら何度でも、迷わず、通告・相談をすることをおすすめします。親は虐待の事実を隠すことがあるので、児童相談所や警察官が現場を押さえることは非常に難しいのです。

 

子供を守るためには、虐待の兆候がなくなるまで継続的に見守らなければいけません。

 

まとめ

いかがでしたか?

最近はご近所同士の関係も希薄化していますし、「余計なことをしてトラブルに巻き込まれたくない」と思う気持ちを抱くのも確かに理解できます。

 

児童虐待への基本的な態度は、まず、誰も悪くない、誰のせいでもないことを認識していただき、本来は誰も虐待したくてしているわけではないことを周りの人は理解するようにしてください。

 

目的は、親や養育者、誰も加害者にせず、子共を被害者にせず、どちらも救うことです。

 

児童相談所は虐待された子共の保護をすることはもちろん、関係機関と連携して、虐待をしてしまったご両親のケアも行います。

 

そなたたちの1本の電話が、不幸のフチに立たされた家族を救うことになりますので、虐待が疑われるお子さんを発見したら、いち早く専門家に相談するようお願いします。

 

 

 

出典

http://jijico.mbp-japan.com/2016/08/14/articles20974.html

http://news.ameba.jp/20160513-1111/

http://news.ameba.jp/20160413-180/

http://ameblo.jp/sweetcocoamilk/entry-11096228785.html

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn