北欧の国々が成功させている犯罪防止方法

斉藤みちる


北欧のレストランでシェフがたたずむ

 

犯罪防止というと、とかく再犯を防ぐという受け取り方が目立ちますが、私の立場からいうと、再犯よりも犯罪を未然に防ぐことが、非常に重要だと感じているところです。

 

今回は北欧の国々が成功させている犯罪防止の取り組みをご紹介したいと思います。なぜ複数の国があるのに、北欧とひとくくりにしたのかというと、ヨーロッパでは、一国で国が存立しているというよりも、隣国同士相互に影響し合って、一種共同体のように機能しているからです。

 

殺人事件の少ないノルウェー

森達也『増補 きみが選んだ死刑のスイッチ』(株イースト・プレス、2011)によると、ノルウェーの年間の殺人事件は、総数で30件弱だそうです。しかも、そのほとんどは、結果として殺人になってしまった過失致死や傷害致死なんだそう。最初から殺意があったと裁判で認定された殺人事件は、年間に一件あるかないかでした。

 

そんなノルウェーもかつては治安が悪く、1970年代は、今よりもはるかに厳しい罰を受刑者に与えていたそうです。でも治安は一向に良くならない。そこでノルウェーは、厳罰化から寛容化に方向を転換したのです。

 

死刑も無期懲役も廃止され、懲役は最高刑で二十一年。どんなに凶悪な事件の加害者だとしても基本、これ以上の罰は与えられません。

 

ノルウェーの再犯率はとても低いです。なぜかって、懲役を終えた囚人は、住まいと仕事が保障されているからです。日本の受刑者の多くは、刑期を終えたら何の支援もなく社会に放り出され、住むところもなければ、仕事もない。支えてくれる人も居なければ、また犯罪を起こしてしまうのも無理な理屈ではありません。

 

ただ、ノルウェーと日本で起こる殺人事件を人口比にすれば、ほとんど変わりません。つまり、日本もノルウェーに負けない治安のよい国なのですね。

 

しかし、厳罰化から寛容化に変えたことで起きた治安の改善は日本にも参考になるのではないかと思われます。

 

受刑者に優しい処遇

死刑が廃止されて久しいノルウェー、警察官は武器を携帯せず、どれだけの凶悪犯でも最大21年の刑期しかありません。

 

受刑者の部屋は一戸建てで窓の外には緑の景観が広がり、図書、テレビ、ビデオゲーム、冷蔵庫、キッチンにはナイフ一式が揃っていて、朝食は各自で作る。森の中ではチェーンソー(!)を使って木材の切り出し作業を行い、有機農園では受刑者と刑務官が一緒に収穫作業を行います。

 

日本の貧困家庭よりもよっぽど豊かではないかと思えるほどの環境で、「犯罪者を罰する」という発想はそこにはありません。刑務所などの刑事施設に勤務する刑務官たちにとっても、受刑者の刑期が最大21年であれば、彼らはいつか必ずここを出て、自分たちの隣に住むかもしれないと感じます。基本的な哲学は、「より良い隣人になってもらうための刑期」なのです。アメリカの再犯率が8割なのに対して、ノルウェーの再犯率(2割)は世界最低水準だそうです。

 

覚せい剤を全て合法化したポルトガル

北欧から外れますが、ポルトガルでは15年ほど前の法改正以来、覚醒剤、麻薬、マリファナなど一切の薬物使用が罪に問われなくなりました。このことによって麻薬関連の裁判、警察、刑務所などの費用が一切掛からなくなり、同時に薬物の使用者が激減したといいます。使っても合法ならば、ちゃんと病院で処方してもらったり、人に相談したり、治療を受けたりするようになるようなのです。

 

スウェーデンホントは性犯罪が多い?

「スウェーデンのイメージか、そういえばここってレイプ犯罪ヤバイよなあ。。」と、あるフランス人がみんなで語り合っていた時に発言したとあるブログに載っていました。

 

そのブログの管理人さんが『ジョークかな?』と思ったら他のヨーロッパ人もみんなその話に真剣に乗ってくる。夜は出歩けないわね、など。

 

実際に調べてみると、2014年、Statistic Brain社が国連統計等を元に作成した資料では10万人当たりのレイプ発生件数

 

1位レソト

2位トリニダード・トバゴ

3位スウェーデン

 

と200近く国があるこの地球上で堂々の3位、ヨーロッパNo.1のレイプ犯罪率だったのです。

 

そこで、なぜスウェーデンのレイプ率が高いのか調べたときに、まずたどり着くのは、残念ながら移民・難民の増加でした。

 

移民や難民が増加したからといって、むやみに犯罪率が高くなるなんて考えることは、倫理的には間違ったことです。しかし、実際にデータとして、彼らによる犯罪率の増加は証明されているので、悲しいかなそう言うしかありません。

 

まとめ

北欧の国々が成功させている犯罪防止の取り組みを見てきました。厳罰化から寛容化に、薬物の法規制の軟化がありました。

 

日本においては、死刑についての議論がありますし、性犯罪の厳罰化が成立する流れです。また、大麻合法化への運動も医療目的の面から、日本の風習や伝統の面からも叫ばれています。

 

北欧の国々の、罰則の寛容化という政策は、日本でも一度、科学的に検証し、議論に乗せてみる価値があるのではないでしょうか。

 

 

 

出典

増補 きみが選んだ死刑のスイッチ 森達也著 P255258

http://politas.jp/features/10/article/497

http://southernsverige.hatenablog.com/entry/2016/09/18/094756

http://southernsverige.hatenablog.com/entry/2016/11/25/080317

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn