年金改革法が成立 Q&Aで今後を展望する

斉藤 みちる


老人の生活

 

年金が、本当に「カット」されるのか。どんな改革なのか。年金の将来が、どのように安定して行くのかなどについて解説して行きます。

 

「年金の仕組み」をもう一度

公的年金は、現段階で働く世代が高齢者などを支え、社会全体で安心を提供するものです。

 

20歳以上の全ての人が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金の2階建てとなっております。

 

現役世代が支払う保険料を年金給付に充てる「仕送り」(賦課方式)が制度の基本です。保険料以外にも、税金(基礎年金の1/2)と積立金が給付に充てられます。

 

現在、高齢化と少子化が急速に進み、受給世代に対する現役世代の割合が低下しています。この状況下でも、将来にわたって持続的で安心できる仕組みとなるよう、平成16年に「マクロ経済スライド」を導入しました。

 

私たちの年金はどうなるの?

■年金をすでに受け取っている方(年金受給者)

Q.今回の改革により、年金額は減るのですか?

賃金と物価が上がっている経済状況では、今回の改革によるルールが発動されることなく、年金額は減りません。

政府は、アベノミクスにより経済再生に全力で取り組んでいます。

 

Q.経済再生に取り組んでいるのにルールを変えるのはなぜですか?

将来、リーマンショックのような想定外の事態が発生し、賃金が下がり、物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせて年金額を改定します(平成33年4月~)。

このようにルールを変えなければ、現在の年金支払いによって、将来世代のための積立金が予定以上に取り崩され、現役世代が将来受け取る年金の水準が低下します。

 

Q.年金だけでは生活が困難ですが、低所得者への支援はあるのですか。

年金を含めても所得が低く援助を要する方には、新たに「福祉的な給付」(年最大6万円)がスタートします(平成31年10月予定)。

 

 ■もうじき年金を受給される方

Q.年金はいつからもらえるのですか。

年金基礎年金は65歳からです。老齢厚生年金については、平成42年までの間、60歳から65歳に段階的に引き上げられて行きます(生年や性別で違いがあります)。60歳以上ならば、額は減りますが繰り上げて受給することも可能です。

 

Q.将来もらえる年金の額はどこで確認できますか。

毎年、皆さんの誕生月に郵送される「ねんきん定期便」や、日本年金機構のHPにある「ねんきんネット」で確認できます。ただし、その額は目安です。

実際には、受給までに納付された額やその時の物価などを考慮した額になります。

 

Q.需給の際にはどのような手続きが必要ですか。

年金を受給するためには、年金請求の手続きが必要です。60歳になる前に、日本年金機構から「年金請求書」が郵送されてきますので、必要な書類を添えてお近くの年金事務所へご提出ください。

 

■現役で働いている方

Q.自分が支払う保険料の見通しについて教えて下さい。

厚生年金の保険料率は、平成29年9月より後には、上がることはありません。

また、国民年金の保険料は、平成31年4月より後には、上がることはありません(ただし、物価や賃金の変動に応じて上下することはあります)。

 

Q.若い人は給付額以上の給付を受けられないのですか。

違います。これからも皆さんが収めた額以上の年金を給付できる見通しです。受給者全員が受け取る「老齢基礎年金」は、給付額の半分を国が負担しています。

 

Q.保険料を払わないとどうなるのですか。

将来受け取る年金額が、その分、減ります。年金額は保険料を納付した期間に応じて決まり、さらに、受給には納付期間等が10年必要です。(老齢年金の場合。保険料の免除や猶予をした期間を含みます)。

また、保険料の納付(または免除や猶予の手続)をしていれば、60歳未満でも、怪我などで重い障害を負った場合に「障害年金」、一家の大黒柱が小さな子供や配偶者を残して亡くなった場合に「遺族年金」を受け取れます。

 

■60歳未満で職に就いていない方

Q.60歳より前に無職になった場合、年金への加入が必要ですか。

20歳以上60歳未満の方は、国民年金に加入する必要があります。年金の受給には、保険料を納付した期間等が10年以上必要です。(老齢年金の場合)。

 

Q.専業主婦・主夫で保険料を払っていませんが、大丈夫でしょうか。

厚生年金の加入者の配偶者で加入者に扶養されている方については、個人での負担は不要です。厚生年金の制度全体で保険料を負担しているからです。

 

Q.年金記録の確認について教えてください。

基礎年金番号に結びついていない持ち主不明の年金記録が約2千万件あります。

特に、転職が多い方、姓が変わったことがある方、いろいろな読み方があるお名前の方などは、年金記録を確認ください。ねんきん定期便やねんきんネットまたはお近くの年金事務所でご確認できます。

 

■将来の年金を増やしたい方

Q.パートで働いても厚生年金に入って年金を増やせる」と聞きましたが。

現在、パート労働者で国民年金に加入している方は、厚生年金に加入すると従来の年金受け取り額が増加します。

週30時間以上勤務で、月額賃金が8.8万円以上の場合、厚生年金に加入できることとなりました(大企業は平成28年10月から。中小企業等は平成29年4月から)。

 

Q.もうすぐ65歳になりますが、年金を増やすことはできますか。

65歳以降に受給開始を繰り下げることで年金が増加します。たとえば、受給を70歳まで待った場合には、65歳で受給するときよりも年金額が約4割増えます。

 

Q.公的年金に上乗せしてもらえる年金があると聞いたのですが。

iDeCo(イデコ。個人型確定拠出年金)や国民年金等に加入すれば年金額を増やせます。特にiDeCoは、60歳未満なら基本的に誰でも加入できるようになりました(平成29年1月~)。なお、掛け金などについて所得税の優遇も受けられます。

 

 

 

出典

年金ニュース 政府広報|厚生労働省 平成2812

 

 

 斉藤みちる プロフィール

社会活動家/「みんなの社会科」管理人

その傍らオラクルカードを中心とした占いもしております。ヒット記事『陸上自衛隊レンジャー訓練』。福祉力検定3級。

Twitter @tikyuuhattenn